大石浩之の氏神ノート氏子統計宗教法人合祀

神道系の宗教法人は1年で100減 氏子の減り方とのずれ

公開 2026-08-21/文:大石浩之(磐田市/不動産業・宅地建物取引士)

記事内容をもとに生成したイメージ:神道系の宗教法人は1年で100減 氏子の減り方とのずれ
記事内容をもとに生成したイメージです。実在の場所・人物を撮影したものではありません。

氏子が減ったとよく聞きますが、神社そのものはどれくらい減っているんでしょうか

文化庁の宗教統計調査では、都道府県知事所轄の神道系の宗教法人が2023年12月31日の84,028から2024年12月31日の83,928へ、1年で100減りました。単位宗教法人で見ると99減です。ただし神道系の信者数は同じ1年で約299万人増えています。法人数と氏子の数は連動しません。

神道系の宗教法人は1年で100減った ── 文化庁の宗教統計調査

文化庁の宗教統計調査によれば、都道府県知事所轄の神道系の宗教法人は、2023年(令和5年)12月31日現在の84,028法人から、2024年(令和6年)12月31日現在の83,928法人になった。1年で100法人の減である。この調査は毎年12月末を基準に行われ、令和7年12月に最新の結果が公表された。

神社・寺院・教会などの単位宗教法人だけで見ると、神道系は84,113法人から84,014法人へ99法人減っている。文部科学大臣所轄の分を含めた数字である。仏教系は76,602法人から76,493法人へ109法人減った。キリスト教系は4,787法人から4,791法人へ4法人増、諸教は13,028法人から12,852法人へ176法人減である。全体では178,530法人から178,150法人へ380法人減った。

全体の規模も押さえておく。すべての宗教法人は178,537法人で、前回の178,921法人から384法人減った。内訳は2つに分かれる。文部科学大臣所轄が1,170法人(前回1,168法人から2法人増)、都道府県知事所轄が177,367法人(前回177,753法人から386法人減)である。神社の大半は都道府県知事所轄に入る。

100という数字を、私の商売の感覚に翻訳してみる。全国の神道系の単位宗教法人84,014に対して、1年の減少は99。率にすると0.12%である。1,000社のうち1社が消える速さ。これを都道府県で割ると、単純平均で1県あたり年に2社ほどになる。静岡県の内訳は今回の公表資料には載っていない。当サイトが登録している磐田市の146社に同じ率を当てると、年に0.17社。6年に1社という計算になる。

法人の数より、担い手の数のほうが速く減っている。同じ調査によれば、神道系の教師数は64,955人から64,491人へ464人減った。教師は各宗教団体が定める資格を持つ人で、神社では神職がこれにあたる。法人が99減るあいだに、教師は464人減っている。差は4.7倍である。

この2つを割り算してみる。神道系の単位宗教法人84,014に対して教師64,491人。1法人あたり0.77人になる。全国平均で、神社1社に1人の神職がいない計算である。当サイトが市内146社を調べたとき、神職の常駐を確認できたのは3社だった。矢奈比賣神社(見付)、府八幡宮(中泉)、貴船神社(掛塚)である。0.77という数字は、これと同じ方向を指している。兼務が例外ではなく前提だということである。

法人が消える速さと、氏子が減る速さは一致しない

法人数の減り方は、氏子の減り方とは別の物差しである。宗教法人が解散すれば法人数は1つ減るが、氏子が半分になっても法人数は1つも減らない。逆に、氏子がいなくなって祭りが途絶えた社でも、法人格が残っていれば統計には1法人として計上され続ける。この2つを同じ話として読むと、実態を取り違える。

同じ調査の信者数を見ると、ずれはもっとはっきりする。神道系の信者数は83,371,429人から86,359,612人へ、2,988,183人増えている。法人は100減り、信者は約299万人増えた。同じ調査の同じ年の数字である。

この増加をそのまま「氏子が増えた」と読むことはできない。文化庁は同じ資料に注記を置いている。「信者は、各宗教団体で称し方が異なり、氏子・檀徒・教徒・信者・会員・同志・崇敬者・修道者・道人・同人などがあります。信者の定義、資格などはそれぞれの宗教団体で定められ、その数え方もおのおの独自の方法がとられています」。数え方が団体ごとに違う数字を、全国で足し上げたものである。

私はここを、この記事でいちばん伝えたい点だと考えている。「神社が減っている」「氏子が減っている」という言葉は、実際にはまったく違う3つの数字を指して使われる。法人の数、氏子の戸数、参拝する人の数。この3つは連動しない。総代会で話をするときは、どの数字の話をしているのかを最初に決めておいたほうが、議論が噛み合う。

文化庁の調査は、良い点を先に数えたい

文化庁の宗教統計調査には、評価できる点が3つある。第1に、毎年12月末という同じ基準日で継続して調べていること。年ごとの比較ができるのは、この一貫性のおかげである。第2に、前回調査との増減を法人数・教師数・信者数のすべてで明示していること。第3に、包括宗教法人と単位宗教法人、被包括と単立を分けて出していること。神社の実態を見るときに要るのは単位宗教法人の数字で、それが取り出せる形になっている。

その上で、一事業者として注文したい点が2つある。1つは、系統別の数字が都道府県別に公表されていないことである。神道系の法人が1年で100減ったとして、それが全国に薄く散っているのか、特定の地域に集中しているのかが分からない。地域で担い手の話をするとき、必要なのは全国の合計ではなく自分の県の数字である。

もう1つは、解散の理由が分からないことである。法人数が減った100件のうち、合併によるものか、氏子の消滅によるものか、事務手続き上の整理によるものかで、意味はまったく違う。理由の区分があれば、地域の側が対策を考える材料になる。これは統計の目的が違うという説明で片づく話かもしれない。それでも、現場で数字を使う側からは要ると言っておきたい。

磐田で「社が減る」とはどういう形で起きてきたか

神社の数が減る形は、法人の解散だけではない。磐田市域では、明治から大正にかけての合祀という形で、社の数が大きく動いた記録が残っている。当サイトの研究ノート「明治の合祀と、戻された社」に例がある。明治7年(1874)、旧井通村では郷社若宮八幡宮(現在の磐田市森下)が定められた。同社の境内社は24社と記録されている。いずれも郷社区内の各村に鎮座していた氏神だった。

興味深いのは、まとめられた社が戻された例があることである。同ノートには、合祀された社が「老幼の参拝困難」を理由に復祀された事例が記録されている。氏子と社の距離が、行政の判断を動かした形跡が磐田に残っている。数が減る方向だけでなく、戻る方向にも動いた。

消えた社の名がどこに残るかについては「合祀された社の名は、どこに残るか」にまとめた。祭神の欄、由緒の一文、そして地名。白羽神社(白羽)は明治42年(1909)3月11日に境内社4社を合祀した。野部神社(上野部)は大正元年(1912)8月9日に境内神社3社を本社へ合祀したと記録されている。法人の数としては減っても、名は残る。

すでに払っている負担と、今の人数で減らせるもの

統計の話を、負担の話に戻しておきたい。氏子と総代が出しているのは、時間・現金・体力の3つである。境内の清掃を月1回2時間で年24時間、祭りの準備と片づけで年2日から6日、総会と役員会で年6時間。現金は修繕積立と祭りの費用と神職への謝礼。体力は草刈りと設営で、これは代替がきかない。

統計はこの3つのどれも減らさない。全国の法人数を知っても、来月の草刈りは同じだけ残る。それでも数字を見る意味があるとすれば、自分の社が「特別に苦しい例外」ではないと分かることだと私は考えている。全国で年99法人が減っている流れのなかにいると分かれば、うちの代で潰したという受け止め方をしなくて済む。

今の人数で回すために減らせるものを1つ挙げるなら、私は「毎年やり直している現状の説明」を選ぶ。総代が交代するたびに、氏子の戸数、法人格の有無、土地の名義、直近の修繕履歴を口頭で伝え直している社は多いはずだ。これを1枚の紙にして社の書類に綴じれば、引き継ぎの時間が毎年数時間ずつ浮く。書く項目は、氏子戸数・法人格の有無と所轄庁・土地の名義・直近の大きな修繕の年と金額・当番の役数の5つでよい。

今日できる確認 ── 自分の社の法人格を1つ調べる

今日できることは1つで、自分の社が宗教法人かどうかを確認することである。宗教法人であれば規則があり、責任役員がいて、所轄庁は原則として都道府県知事になる。法人でなければ、土地の名義が個人や自治会になっているはずである。どちらかを知るだけで、次に何を調べればいいかが決まる。

氏子の側が減る形については、空き家の請求書から数えた「空き家の氏子費 静岡県の空き家率16.7%と当番の分母」も併せて読んでほしい。法人の数が減る前に、家が先に空く。名義の整理の進め方は「認可地縁団体と宗教法人 磐田の氏子と土地の3つの形」に書いた。相続登記の2027年3月31日の期限は「境内地が個人名義のまま 相続登記2027年3月期限」にまとめてある。統計を読んだ次の一手は、全国の数字ではなく自分の社の登記簿である。なお、法人が残っていても宮司が常駐しない社は多い。1人の宮司が何社まで受け持っているかは「宮司の兼務は何社まで 兵庫10.7社と磐田146社」で兵庫県の実例と並べて数えた。その84,014法人のうち、どこかの包括団体に属している被包括法人が97.4%を占める。その内訳は「単立神社と神社本庁 被包括97.4%の内訳」で数えた。

ここは私の迷いも書いておく。法人数が減ることを、私は良いことだとも悪いことだとも判断できずにいる。氏子がいなくなった社の法人格が整理されるのは手続きとして筋が通る。一方で、名が消える速さが、記録を残す速さより早いのではないかという心配もある。当サイトが市内146社の記録を続けているのは、その速さに少しでも追いつくためである。自分の氏神が誰なのかを知ることについては「氏神と崇敬神社 ── 自分の氏神を知るということ」に整理してある。

よくある確認

神社の数は全国でどれくらい減っていますか。

文化庁の宗教統計調査によれば、神社・寺院・教会などの単位宗教法人のうち神道系は、2023年12月31日現在の84,113法人から2024年12月31日現在の84,014法人へ99法人減りました。都道府県知事所轄に限ると84,028から83,928へ100法人減です。全法人では178,921から178,150への380法人減となります。

法人数が減ることと、氏子が減ることは同じですか。

同じではありません。氏子が半分になっても法人が解散しなければ法人数は減らず、祭りが途絶えた社でも法人格が残れば1法人として計上され続けます。文化庁の同じ調査では、神道系の信者数は約299万人増えています。ただし信者の数え方は各宗教団体が独自に定めていると同資料は注記しています。

神職の数はどうなっていますか。

文化庁の調査によれば、神道系の教師数は64,955人から64,491人へ464人減りました。教師は各宗教団体が定める資格を持つ人で、神社では神職がこれにあたります。単位宗教法人84,014に対して教師64,491人ですから、1法人あたり0.77人です。兼務は例外ではなく前提だということになります。

あわせて読む

出典・確認先

制度・金額・期限は変わります。相続、税、登記にかかわる個別の判断は、税理士・司法書士などの専門家と、氏子総代や神社庁の窓口にご確認ください。本記事は一般的な情報であり、特定の神社・家・土地についての判断ではありません。

大石浩之(磐田市/不動産業・宅地建物取引士)の顔写真

この記事を書いた人

大石浩之(磐田市/不動産業)

富士ヶ丘サービス株式会社 代表取締役/宅地建物取引士

磐田市で実家じまい・相続・空き家の相談を受けています。氏神や祭りの担い手の話は、家や土地をどうするかの相談と必ず同じ場に出てきます。その現場で見たこと・聞いたことを、判断できるところとできないところを分けて書いています。

ATAWI SHRINE について大石浩之のプロフィール