大石浩之の氏神ノート宗教法人統計氏子
単立神社と神社本庁 被包括97.4%の内訳
公開 2026-08-31/文:大石浩之(磐田市/不動産業・宅地建物取引士)
うちの神社は神社本庁に入っているのでしょうか。抜けることもできるのですか
全国の神道系の宗教法人84,014のうち、どこかの包括団体に属する被包括法人は81,803で97.4%、単立は2,211で2.6%です(文化庁『宗教年鑑 令和7年版』令和6年12月31日現在)。神社に限れば単立は1,779社。抜ける手続きは宗教法人法第26条にあり、包括団体の承認は要りません。公告から最短2か月かかります。
神道系の宗教法人84,014のうち、被包括が81,803で97.4%
文化庁の宗教統計調査(令和7年度・令和6年12月31日現在、2025年12月24日公表)によると、全国の神道系の単位宗教法人は84,014法人ある。このうち、どこかの包括宗教団体の傘下にある被包括宗教法人が81,803法人、どこにも属していない単立宗教法人が2,211法人である。被包括が97.4%、単立が2.6%になる。
被包括81,803法人は、包括している側の性格で3つに分かれる。文部科学大臣所轄の包括宗教法人の下、都道府県知事所轄の包括宗教法人の下、法人になっていない包括宗教団体の下である(第1表 宗教法人数総括表)。
| 神道系の単位宗教法人の区分 | 法人数 | 割合 |
|---|---|---|
| 被包括(文部科学大臣所轄の包括宗教法人の下) | 81,563 | 97.1% |
| 被包括(都道府県知事所轄の包括宗教法人の下) | 133 | 0.2% |
| 被包括(法人になっていない包括宗教団体の下) | 107 | 0.1% |
| 被包括 合計 | 81,803 | 97.4% |
| 単立 | 2,211 | 2.6% |
| 合計 | 84,014 | 100% |
単立2,211法人の中身も分かれている。第5表によると、神社が1,779、教会が229、その他が165、布教所が28、寺院が10である。単立という言葉から連想されるのは名の通った大きな社だが、数の上では8割が「神社」に分類される法人である。
4つの系統を並べると、神道系の97.4%がいちばん高い。仏教系は76,493法人のうち被包括が73,663で96.3%、諸教は12,852のうち12,407で96.5%、キリスト教系は4,791のうち2,863で59.8%である。全体では178,150のうち170,736で95.8%。神道系は、宗教法人のなかでいちばん包括団体から抜けていない系統である。
神社本庁に属していない神社が、全部単立というわけではない
神社を包括している団体は、神社本庁だけではない。文化庁の第6表(包括宗教団体別被包括宗教団体)を1行ずつ数えると、文部科学大臣所轄の包括宗教法人のうち神社を1社以上包括している団体は40ある。神社本庁が78,157社を包括し、残る39団体で416社を包括している。
39団体は社数の多い順に神社本教78社、神社産土教72社、北海道神社協会60社、神道大教56社、神道教団40社と続き、以下は2桁と1桁が並ぶ。これとは別に、都道府県知事所轄の包括法人が包括する神社が72社(うち神社司庁70社)、法人でない包括団体が包括する神社が60社ある。
神社という単位で数え直すと、全国の神道系の神社(法人になっていない団体を含む)は80,484である。内訳は次のとおり。
| 神社の包括関係 | 神社数 | 割合 |
|---|---|---|
| 神社本庁が包括 | 78,157 | 97.1% |
| 神社本庁以外の文部科学大臣所轄包括法人(39団体)が包括 | 416 | 0.5% |
| 都道府県知事所轄の包括法人が包括 | 72 | 0.1% |
| 法人になっていない包括団体が包括 | 60 | 0.1% |
| 単立 | 1,779 | 2.2% |
| 合計 | 80,484 | 100% |
ここが私には意外だった。「神社本庁に属していない」と「単立である」は、同じ意味ではない。神社本庁の外にいる神社2,327社のうち、548社は別の包括団体の下にいて、単立は1,779社にとどまる。抜けた先が空白とは限らない。神社本庁の被包括法人は78,178、その教師(神職)は20,992人で、1人が何社を受け持つかは「宮司の兼務は何社まで 兵庫10.7社と磐田146社」で数えた。
抜ける手続きは宗教法人法第26条 ── 入るときは承認、出るときは通知
被包括関係をやめる手続きは、宗教法人法第26条に書かれている。条文を読んで驚くのは、包括団体の承認が要件になっていないことである。第26条第1項の後段は、廃止に係る規則の変更について包括宗教団体が一定の権限を有する旨の定めが規則にある場合でも、その権限に関する規則の規定によることを要しない、と書いている(e-Gov法令検索・2026年8月31日確認)。
代わりに要るのが、公告と通知である。第26条第2項は、認証申請の少なくとも2か月前に、信者その他の利害関係人へ規則の変更案の要旨を示して公告することを求めている。第3項は、廃止の場合は公告と同時に包括団体へ通知せよと定め、同じ項で、関係を新しく設定する場合は認証申請の前に相手の承認を受けよとも書いている。
入るときは承認、出るときは通知。ここは言い切ってよい。宗教法人法は、抜ける側に立って書かれている。第26条第4項が包括団体に与えているのは、手続きが第26条に違反していると認めたときに所轄庁と文部科学大臣へ通知できる権限だけで、拒否権ではない。さらに第78条は、廃止を防ぐ目的で、または廃止を企てたことを理由として、通知の前と通知後2年間、代表役員や責任役員を解任したり権限に制限を加えたりすることを禁じ、違反してした行為は無効と定めている。
順序と日数を並べると次のようになる。①規則で定める手続(責任役員会の議決、規則が求めるなら総代会の同意)。②認証申請の2か月以上前に公告し、同時に包括団体へ通知する。公告の方法は規則に書いてあるとおりに行う(第12条第1項第11号)。③所轄庁へ認証申請。添付するのは、規則の手続を経たことを証する書類と、公告および通知をしたことを証する書類である(第27条)。④所轄庁は受理から3か月以内に決定し、認証書の交付で規則の変更の効力が生じる(第28条第2項で準用する第14条第4項、第30条)。⑤包括団体の名称は登記事項なので(第52条第2項第4号)、2週間以内に変更登記をする(第53条)。
数字を自分の商売の感覚に置き換える。公告から認証申請まで2か月、認証の決定まで最長3か月、登記まで2週間。最短で2か月、長ければ5か月半かかる。私の扱う土地の売買は契約から決済まで1か月から2か月で終わることが多く、境内地を処分するときの公告も1か月である(「宗教法人の土地売却は公告1か月 神社の境内地を動かす手順」)。被包括関係の廃止は、その2倍から5倍の時間がかかる。総代の任期が2年の社なら、任期の中で始めて終えるのは余裕のある日程ではない。
磐田の146社に当てはめると3.2社 ── 実際に確認できたのは0社
当サイトが登録している磐田市の神社は146社で、うち145社が静岡県神社庁の「静岡県の神社」に掲載されている(2026年8月31日時点)。県神社庁は神社本庁の地方機関なので、掲載されている社は神社本庁の被包括と見てよい。掲載外の1社は見付の天御子神社で、淡海國玉神社の飛び地境内社にあたり、矢奈比賣神社が管理している。単立の届出を確認したわけではない。
全国の神社の単立率2.2%を磐田の146社に当てると3.2社になる。静岡県の神社は2,838法人なので(第3表・令和6年12月31日現在)、同じ率なら県内に63社という計算になる。ただしこれは全国平均を機械的に割り戻しただけの数字である。単立の1,779社が都道府県別にどう散っているかは公表されていない。静岡県に何社あるかを、私は出せない。ここは未確認のまま残す。県別の数字が出てこない不便さは「神道系の宗教法人は1年で100減 氏子の減り方とのずれ」でも書いた。
計算では3.2社あるはずのものが、磐田では1社も確認できていない。単立は規模の大きな社に偏っているのだろうと見当を付けているが、これは推測で、裏付けを持っていない。
氏子と総代がすでに払っている負担を、時間・現金・体力の内訳で数えておく。包括関係がこの3つのどこに効くのかを見ないと、抜ける抜けないの議論が宙に浮く。
時間。境内の清掃が月1回2時間で年24時間、祭りの準備と片づけで年2日から6日、総会と役員会で年6時間。ここに包括関係は関係しない。関係するのは、抜けると決めた年だけに乗る2か月から5か月半の手続きの時間である。
現金。修繕積立、祭りの費用、神職への謝礼。これも包括関係で消えない。動くのは神社庁を通じて納めている賦課金と、抜けるときの公告掲載費・認証申請・変更登記の費用である。賦課金の額は社ごとに違い、静岡県神社庁は公表していない。自分の社の決算書の支出欄を見るしかない。書類の在りかは「宗教法人の財産目録と閲覧請求 25条の6書類と過料10万円」に整理した。
体力。草刈りと設営。これは包括関係で1グラムも変わらない。
ここから先は、私が現場で見た一場面ではない。氏子総代から単立化の相談を受けたことは無いので、不動産業をしている者としての意見として書く。名義を個人から法人へ移す相談では、移した後に毎年かかる手間と費用を私は先に紙に書いて渡す。器を変える判断は、変える日の手続きではなく翌年から10年ぶんの負担で決まるからだ。被包括か単立かも同じ形をしていると私は考えている。
今の人数で減らせること ── 規則の「第何条」を1行だけ書き写す
今の人数で回すために減らせるものを1つ挙げるなら、私は「包括関係を毎回ゼロから調べ直す時間」を選ぶ。総代が代わるたびに規則の原本を金庫から出し、包括団体の名前がどこに書いてあるかを探すところからやり直している社は多いはずだ。書き写すのは3行でいい。
- 規則の第何条に、包括する宗教団体の名称と、法人か非法人かの別が書かれているか(宗教法人法第12条第1項第4号の記載事項)。
- 規則の第何条に、公告の方法が書かれているか(同項第11号)。被包括関係を変えるときも土地を処分するときも、この条文を使う。
- 登記事項証明書の「包括する宗教団体」の欄に、規則と同じ名称が入っているか(第52条第2項第4号)。ずれていれば変更登記が漏れている。代表役員の変更登記の期限は「宗教法人の代表役員変更登記 期限2週間と過料10万円」に書いた。
作るのに30分、更新は規則を変えるまで不要である。この3行があれば、単立化の相談が出たときも境内地を売る話が来たときも、金庫を開けるところから始めずに済む。
今日できる確認 ── 登記事項証明書の1欄を見る
今日できることは1つで、自分の社の登記事項証明書を取って「包括する宗教団体」の欄を見ることである。法務局で誰でも取れる。神社本庁と書いてあれば被包括で、欄そのものが無ければ包括団体がない。法人格が無い社ではこの登記が存在しないので、土地の名義から調べることになる。調べる順序は「磐田の神社を自分で調べる方法」にまとめてある。
迷っていることも書いておく。単立になったほうがいいかどうかを、私は判断できない。負担の内訳を並べた限りでは、包括関係で動くのは賦課金と手続き費用だけで、草刈りも修繕も祭りも残る。一方で、包括団体があるから祭りの日に神職が回ってくる面もある。伝統だから続けるべきとも、もうやめるべきとも、私は言わない。
結論を今日出す必要はない。ただ、自分の社が被包括の97.4%の側にいるのか単立の2.6%の側にいるのか、それが規則の第何条を見れば分かるのかを書き残しておくことは、どの選択をする年にも効く。決めるのは氏子で、材料が1つ増えた状態が今日の成果でいい。
よくある確認
うちの神社が神社本庁に属しているかは、どこを見れば分かりますか。
規則と登記です。宗教法人法第12条第1項第4号は、包括する宗教団体がある場合はその名称と法人か非法人かの別を規則に記載すると定め、第52条第2項第4号は同じ内容を登記事項としています。登記事項証明書は法務局で誰でも取れます。静岡県神社庁の「静岡県の神社」に掲載されていれば、神社本庁の被包括と見てよいです。
神社本庁を抜けるのに、本庁の承認は要りますか。
要りません。宗教法人法第26条第1項の後段は、被包括関係の廃止に係る規則の変更について包括団体が権限を持つ旨の定めが規則にあっても、その規定によることを要しないと定めています。代わりに、認証申請の少なくとも2か月前に信者その他の利害関係人へ公告し(第2項)、公告と同時に包括団体へ通知します(第3項)。
単立になると、氏子の負担は減りますか。
減る部分と減らない部分があります。境内の草刈り、屋根や玉垣の修繕、祭りの準備と片づけは包括関係と関係なく残ります。動くのは神社庁へ納める賦課金と、手続きの費用です。賦課金の額は社ごとに違い公表されていないので、自分の社の決算書で確かめることになります。手続きには最短2か月かかります。
あわせて読む
- 神道系の宗教法人は1年で100減 氏子の減り方とのずれ
- 宮司の兼務は何社まで 兵庫10.7社と磐田146社
- 宗教法人の財産目録と閲覧請求 25条の6書類と過料10万円
- 宗教法人の代表役員変更登記 期限2週間と過料10万円
- 磐田の神社を自分で調べる方法
出典・確認先
- 文化庁『宗教年鑑 令和7年版』(令和6年12月31日現在)(2026年8月確認)
- 文化庁「宗教統計調査」(2026年8月確認)
- 政府統計の総合窓口「宗教統計調査 令和7年度」統計表(第1表・第2表・第3表・第5表・第6表)(2026年8月確認)
- e-Gov法令検索「宗教法人法(昭和二十六年法律第百二十六号)」(2026年8月確認)
- 静岡県神社庁「静岡県の神社」磐田市(2026年8月確認)
制度・金額・期限は変わります。相続、税、登記にかかわる個別の判断は、税理士・司法書士などの専門家と、氏子総代や神社庁の窓口にご確認ください。本記事は一般的な情報であり、特定の神社・家・土地についての判断ではありません。