大石浩之の氏神ノート草刈り外注氏子総代最低賃金磐田市
神社の草刈り外注比較 静岡1,154円で時間換算
公開 2026-09-02/文:大石浩之(磐田市/不動産業・宅地建物取引士)
神社の草刈りは、氏子で続けるのと外注するのをどう比べますか
静岡県最低賃金の答申額1,154円は草刈り業者の相場ではありません。氏子の人数×拘束時間×1,154円に燃料・刃・処分費を足し、外注は同じ範囲・回数・処分条件で見積もります。全部か自前かの二択にせず、斜面や道路際など危険な1区画だけの部分外注から比べます。
静岡1,154円は外注価格ではなく、氏子の時間を測る物差し
静岡地方最低賃金審議会は2026年8月12日、静岡県最低賃金を57円引き上げ、時間額1,154円とするよう静岡労働局長へ答申した。引上率は5.20%で、発効日は2026年10月15日とされている。ただし、静岡労働局の公表文は「答申どおりの決定となれば」という条件付きである。2026年9月2日時点では、1,154円を決定済みの額としては扱わない。
1,154円は、草刈り業者が請求する1時間の料金ではない。労働者1人に支払う最低賃金の答申額である。外注の見積もりには、人件費のほか、草刈機、刃、燃料、車両、保険、刈草の回収・処分、現場管理、消費税が含まれ得る。氏子4人が3時間動いた12人時を、1,154円で掛けると13,848円になる。これは請求書の予想額ではなく、無償で出している時間をゼロ円のままにしないための比較値だ。
意外だったのは、57円の引上げそのものより、人数を掛けた後の数字である。10人が4時間動く40人時でも、現行額との差は2,280円にとどまる。一方、40人時全体を1,154円で置けば46,160円になる。草刈り当番の負担を考えるとき、賃金の上げ幅だけを見るより、何人が何時間を差し出しているかを先に数えたほうが実態に近い。
草刈り当番は時間・現金・体力の3つを同時に払っている
神社の草刈り当番が払う負担は、集合から解散までの時間、機械や燃料に出す現金、斜面や暑さに耐える体力の3つである。作業時間だけを数えると、刃の交換、混合燃料の準備、草刈機の積み下ろし、刈草の袋詰め、持ち帰った機械の清掃が表から落ちる。まず総代や氏子がすでに払っているものを、別々に書き出す必要がある。
| 負担 | 氏子作業で数える範囲 | 外注見積もりで確認する範囲 |
|---|---|---|
| 時間 | 集合、準備、刈取り、集草、片付け | 作業時間、移動、現場確認、処分 |
| 現金 | 燃料、刃、袋、機械の修理・更新 | 基本料金、機械、車両、処分、消費税 |
| 体力 | 暑さ、振動、斜面、飛石、機械の運搬 | 氏子側に残る立会い、鍵、範囲確認 |
当サイトの境内の清掃と奉仕には、神職が常駐しない社で氏子が草刈機を持ち寄る維持の形を整理している。外注を考える前に、この持ち寄りが何台あり、誰が燃料代と修理代を払っているかを確認したい。機械が個人所有なら、会計に出ない現金まで氏子が負担している可能性がある。
磐田市前野の東八王子神社のように、社名と鎮座地をデータベースで確認できても、1回の草刈りに必要な人数と時間までは分からない。境内の平地、参道、道路際、斜面、社叢の縁では難しさが違うからだ。特定の神社を一律の単価で評価することはできない。だからこそ、見積もりは現地を見てもらい、範囲を図にしてそろえる。
全部外注と部分外注を、同じ40人時から比べる
草刈り外注の比較は、「自分たちで続ける」「危険な部分だけ頼む」「全部頼む」の3方式を、同じ作業範囲と年間回数で並べると判断しやすい。最低賃金の答申額で換算した氏子の時間は、外注見積もりと同額にはならない。それでも、氏子作業をゼロ円として比較するより、何を引き受けてもらうための差額かが見える。
| 方式 | 氏子側に残るもの | 比較するときの数字 |
|---|---|---|
| 自分たちで続ける | 40人時、機械、燃料、集草、処分 | 時間換算46,160円+実費 |
| 部分外注 | 平地の草刈り、立会い、鍵の受渡し | 外注範囲の見積額+残る人時 |
| 全部外注 | 現地確認、日程調整、完了確認 | 年間見積額と年間回数 |
40人時は比較のために置いた仮定で、特定の社の実績ではない。年6回なら、氏子の時間換算は276,960円になる。年2回なら92,320円だ。外注見積もりが年間20万円だったとしても、6回分なのか2回分なのかで意味は変わる。刈高、集草、処分、斜面、道路際、除草剤の有無もそろえなければ、安い見積もりと高い見積もりを正しく比べられない。
年間契約を比べるときは、作業日を固定するのか、草丈を見て日程を調整するのかも聞く。同じ年4回でも、祭礼前に1回を置ける契約と、業者の巡回日に合わせる契約では、氏子側に残る草刈りが違う。臨時作業の追加料金、強風や大雨で延期した場合の連絡先、境内の鍵を誰が開けるかまで書けば、総代の調整時間も比較できる。
見積もりを頼む前に、境内図を「平地」「斜面」「道路際」「刈らない場所」の4色に分ける。面積が正確に分からなくても、同じ図を2社へ渡せば条件のずれを減らせる。石、切り株、ホース、電線の支線など、刃が当たり得る場所には印を付ける。現地確認の日には氏子側の担当者を1人に決め、各社へ同じ説明をする。相見積もりは値切る道具ではなく、作業範囲をそろえる作業だと私は考える。
良い点から言えば、外注は草刈機を扱う人の体力負担と、機械を個人で維持する負担を減らせる。総代が毎回の出欠を集める時間も減る。高齢化した当番を、根性で埋める必要がなくなる。境内の危険木のように専門業者へ任せる線引きは、境内の危険木と台風でも費用と作業範囲から考えた。
草刈り前の境内点検で蜂の巣を見つけた場合は、作業を始めずに人を離す。自力で触るか業者へ頼むかの線引きは、神社の蜂の巣駆除を自力と業者で比べる記事に整理した。
その上で注文したい点がある。「草刈り一式」という見積書だけでは比べられない。氏子側の作業がどこまで残るかを書いてもらうべきだ。刈った草を現地に寄せるだけなのか、袋に詰めるのか、搬出処分まで含むのか。道路際の飛石対策、石灯籠や玉垣の周囲、雨天延期の扱いも確認する。総額の安さより、作業後に誰の仕事が残るかを見る。
1,154円と業者見積もりは、範囲をそろえて初めて比べられる
神社の草刈り外注では、氏子の人数×拘束時間×1,154円に実費を足し、業者の見積もりは作業範囲、回数、処分、消費税を含む総額で読む。両者の差額は、時間だけでなく、事故の心配、機械管理、出欠調整を移すための金額である。最低賃金と請負価格を同じ単価として並べるのは誤りだが、負担の内訳を見えるようにする物差しにはなる。
比較表は1回分と年間分を分ける。氏子8人が3時間なら24人時で27,696円、年4回なら110,784円である。ここへ燃料、替刃、ごみ袋、機械修理を足す。業者には同じ年4回で、平地何平方メートル、斜面何平方メートル、集草・搬出の有無を示す。面積が測れなければ、境内図や航空写真に色を塗り、現地で歩いて確認すればよい。
氏子作業の時間は、草刈機を動かした時間だけで終わらせない。午前7時集合、10時解散なら3時間で数える。会計担当は燃料と替刃の領収書を同じ紙に付ける。機械を持ち込んだ人には、個人負担の修理や刃の購入がなかったかも聞く。作業後に刈草を処分場へ運んだ人がいれば、その往復時間も足す。ここまで数えて初めて、外注で消える負担と残る負担を分けられる。
神社の修繕費を労務単価で読む記事でも、単価に含まれない経費を分けている。草刈りも同じで、作業員の時間だけでは請負金額にならない。ただし、修繕工事の設計労務単価と最低賃金は目的が違う。高い、安いと結論を急がず、どの数字が賃金で、どの数字が機械・安全・処分を含む請負なのかを分ける。
私は不動産の見積もりを見るとき、総額より先に「何が含まれ、何が残るか」を見る。草刈りも同じ見方が使えると考える。ただ、氏子の時間に1,154円を掛ければ公平になる、とまでは言い切れない。参加できる人とできない人、機械を出す人、会計から燃料を受け取る人では負担が違う。この迷いがあるから、金額換算は請求の根拠ではなく、話し合いの材料にとどめたい。
今の人数で回すなら、氏子が刈る範囲を1つ減らす
今の人数で神社の草刈りを回すために減らすものは、氏子が刈る範囲である。境内全部を一度に外注するか、自分たちで全部続けるかの二択にしない。斜面、道路際、石や根が多い場所のうち、最も危ない1区画だけを見積もりに出す。氏子は平地と参道だけを担当する。部分外注なら、残る仕事と減る仕事を確かめやすい。
言い切っておく。無償の当番は、無料の作業ではない。氏子・総代が時間、現金、体力で払っている。外注費が高く見えるときほど、いま払っている負担をゼロ円にせず、同じ範囲と回数で比べる必要がある。伝統だから続けるべきとも、もうやめるべきとも私は言わない。今いる人数で続けるなら、危ない範囲を1つ減らす。
今日できる確認は、次の草刈りで「参加人数」「集合から解散までの時間」「燃料・刃・袋の支出」「刈草処分にかかった時間」の4項目を紙1枚に記録することである。作業日、天候、刈った区画も同じ紙へ残せば、次回の見積条件に使える。その数字を使い、危険な1区画だけの見積もりを2社へ同じ条件で頼む。氏子の一人として、商売の目で見ると、結論を急ぐより比較できる形を作るほうが先だ。
よくある確認
静岡県最低賃金1,154円を、草刈りの外注単価として使えますか。
使えません。1,154円は2026年10月15日の発効予定日を示した最低賃金の答申額で、業者の請負単価ではありません。氏子の無償時間を見える化する比較値として使い、外注費は機械、燃料、車両、保険、現場管理、刈草処分、消費税を含む範囲を見積書で確認します。
神社の草刈り外注で、見積書の何をそろえて比べますか。
作業面積、平地と斜面、道路際、刈高、年間回数、集草、袋詰め、搬出処分、飛石対策、雨天延期、消費税をそろえます。「草刈り一式」だけでは、作業後に氏子側へ何が残るか分かりません。同じ境内図に作業範囲を塗り、2社へ同じ条件で見積もりを頼みます。
全部を外注する予算がない場合、どこから頼めばよいですか。
斜面、道路際、石や根が多い場所から、最も危ない1区画だけを部分外注します。氏子は平地と参道を担当し、外注先には集草・搬出まで含むか確認します。次回の作業で人数、拘束時間、実費、処分時間を記録すると、減らせる負担と支払える差額を比較できます。
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出典・確認先
- 静岡労働局「静岡県最低賃金の57円引上げを答申」(2026年8月12日答申)(2026年9月確認)
制度・金額・期限は変わります。相続、税、登記にかかわる個別の判断は、税理士・司法書士などの専門家と、氏子総代や神社庁の窓口にご確認ください。本記事は一般的な情報であり、特定の神社・家・土地についての判断ではありません。