参拝の作法L12026-07-30
お神札とお守りの納め方 ── 一年で取り替えるという考え方
お神札とお守りの祀り方と、古いものを納める手順を整理します。無人の社では古札納所がないため、市内では納める先が限られるという実際も説明します。
お神札とお守り
神社で受ける授与品のうち、家や身につけて祀るものにお神札とお守りがあります。
お神札は、神棚に納めて祀るものです。神宮大麻(伊勢神宮のお神札)、氏神のお神札、崇敬する神社のお神札があります。
お守りは、身につける、あるいは鞄や机に置くものです。願意ごとに種類があり、交通安全、学業成就、安産、厄除けなどがあります。
複数のお守りを持つことについては、差し支えないとする説明が一般的です。神々が争うという言い方は俗説とされます。当サイトも、複数持つことを問題視する書き方をしません。
いずれも、一年を目安に取り替えるのが通例とされます。年末に古いものを納め、新しいものを受けて、正月から新しいお神札で年を迎える。この形が広く案内されています。
ただし、これも厳密な決まりではありません。特定の願意のお守りを、願いが済むまで持ち続けるという扱いもあります。合格祈願のお守りを受験が終わるまで持つ、安産のお守りを出産まで持つ、といった形です。
納める手順
古いお神札やお守りをどう扱うかについて、一般的な手順を整理します。
神社の古札納所(こさつのうしょ)に納めます。社務所のある社では、年末年始に納所が設けられます。箱や台が置かれ、そこに入れる形です。
正月に行われるどんど焼き(左義長)で焼く地域もあります。自治会単位で行われている例があり、注連縄や書き初めとあわせて焼きます。日程は地域によって違うため、自治会の案内を確認します。
受けた社と違う社に納めてよいかについては、差し支えないとする説明が一般的です。遠方の社で受けたお守りを近くの社に納めることも、実際に行われています。
自宅で処分することは避けたほうがよいとされます。ごみとして出すことに抵抗を感じる方が多いのは自然なことです。どうしても納めに行けない場合、白い紙に包み、塩を添えて処分するという方法が案内されることもあります。
お守りの袋だけを残して中身を納める、という扱いはしません。中に納められた内符が本体だからです。
神棚での祀り方
お神札を神棚に納める順序を確かめておきます。
三社造(扉が三つ)の宮形なら、中央に神宮大麻、向かって右に氏神のお神札、向かって左に崇敬する神社のお神札を納めます。
一社造(扉が一つ)なら、手前から神宮大麻、氏神、崇敬社の順に重ねます。手前が上位という考え方です。
神棚がない場合、目線より高い清浄な場所に立てて祀ります。家具の上に白い布を敷き、お神札を立てるという形でも差し支えないとされます。
横にして置く、引き出しにしまうといったことは避けます。立てて祀るという形が保てれば、簡易な設えでも問題ありません。
お神札が増えて納まりきらない場合は、宮形の脇に立てかけるか、別の棚に置きます。無理に重ねる必要はありません。
近親者が亡くなったあとの忌中は、神棚に白紙を貼って閉じる「神棚封じ」を行います。神道では五十日祭までを忌中とするのが一般的で、その間は供え物と拝礼を休みます。忌明けに紙を外し、通常に戻します。
磐田の実際 ── 納所がある社が限られる
ここからは磐田の事情です。
当サイトが把握している市内145社のうち、神職が常駐していることを確認できたのは数社にすぎません。静岡県神社庁の掲載で授与品や各種御祈祷の案内があるのは、矢奈比賣神社(見付)、府八幡宮(中泉)、貴船神社(掛塚)の3社にとどまります。
古札納所が設けられるのは、この社務所のある社です。無人の社には納所がありません。箱を置いておけば中身が濡れ、風で散り、片付ける人が必要になるからです。
『静岡県磐田郡誌』(大正10年)を見ても、同書が「代表者」欄に神職名を記す社は市域146件のうち7件にすぎず、うち三社は同じ宮司の兼務です。百年前から、神職の常駐する社は限られていました。
氏神が無人の社である場合、そこにお神札を納めることはできません。社務所のある社に持参するか、自治会のどんど焼きに出すことになります。
拝殿の前や賽銭箱の上に置いていくことは避けます。雨に濡れ、風で飛び、結果として氏子の方が片付けることになります。納める場所がないなら、持ち帰って別の機会にするほうがよいでしょう。
お神札はどこから来るか
氏神のお神札を、そもそもどこで受けるかという問題があります。
無人の社では授与を行っていないため、その社のお神札を社頭で受けることはできません。
兼務している神職を通じて頒布されることがあります。年末に自治会や氏子総代を通じて配られる地域もあります。実際の入手経路は集落ごとに違うため、まず氏子総代や自治会に尋ねるのが確実です。
それも分からない場合は、市内の社務所のある社で受けることになります。厳密には氏神のお神札ではありませんが、神棚に何も納めないよりはよいという考え方です。
当サイトが祭神・例祭日・由緒のいずれかを資料で確認できたのは、市内145社のうち110社です。残る35社は『静岡県磐田郡誌』に記載を見いだせず、現地の由緒板や棟札による確認が必要な状態にあります。お神札の頒布経路についても、当サイトは市内の実態を確認できていません。文献に記録が残らない領域です。
神宮大麻については、全国の神社を通じて頒布される仕組みがあります。氏神を通じて配られることが多く、これも地域によって経路が違います。
一年で区切るということ
お神札を一年で取り替えるという習慣には、区切りをつけるという働きがあります。
年末に古いものを納め、正月から新しいもので始める。この反復が、社との関わりを続けさせます。一度受けて祀ったままにしておくと、関わりはそこで止まります。
当サイトが確認した市内の例祭日は102社分で、十月に集中しています。稲刈りを終えた時期に収穫を感謝する祭りを行うという、農村の祭祀の形です。正月に例祭を行う社も八社あります。
祭りが年に一度あり、お神札を年に一度替える。神社との関わりは、こうした年周期のなかで営まれてきました。日々参拝しなくても、年ごとの区切りを守れば関わりは切れません。
この考え方は、当サイトの運営にも取り入れています。年に一度、全ページを再構築する点検を行い、記事の記述が現況と合っているかを確かめるという手順を定めています。年周期で区切るという発想は、記録を続けるうえでも役に立ちます。
お守りの扱い
お守りについて、いくつか確かめておきます。
身につける、鞄に入れる、机に置く。いずれでも差し支えありません。肌身離さず持つべきだという決まりはなく、無理のない形で持てばよいとされます。
洗濯機に入れてしまった、落として汚れた。そういうことは起こります。気に病む必要はありません。気になるなら、社に納めて新しいものを受ければ足ります。
中の内符を取り出して見ることは、控えるよう案内されることが多くあります。袋に納められた状態で完結しているという扱いです。
人に贈ることについては、差し支えないとされます。受験や出産を控えた人に渡す、遠方に住む家族に送る。代理参拝で受けたものを届けるという形も行われています。
複数持つことも問題視されません。神々が争うという言い方は俗説とされます。当サイトは、特定のお守りに特定の効果があるという書き方をしません。受けるという行為が神との関わりを形にしたものであり、効能を測る対象ではないという立場です。
納めるという行為
お神札やお守りを納めるとき、少し名残惜しく感じることがあります。
一年間、神棚にあった、あるいは鞄に入っていたものです。受験の間持っていたお守り、子が生まれるまで持っていたお守り。そこに時間が結びついています。
それでも納めるのは、区切りをつけるためです。納めることで、その一年が終わります。手元に残しておくという扱いもありますが、多くの人が納めるほうを選ぶのは、区切りに意味を感じるからでしょう。
納められたお神札は、お焚き上げされます。火にかけて還すという形です。どんど焼きに立ち会うと、その煙を見ることになります。
市内では、社務所のある3社の納所と、自治会のどんど焼きが納める先になります。残る142社では、納めることも受けることもできません。それでも、そこに社があり、氏子が保ってきました。授与品の有無は、その社の価値を測るものではありません。
当サイトは市内145社を大字ごとに整理しています。祭神が確認できたのは109社、例祭日は102社、大正期の由緒は112社。お神札を受けられない社にも、記録すべきことは残っています。
神棚がない家では
神棚を設けていない家も増えました。住宅の構造上、棚を吊る場所がないという事情があります。
その場合、家具の上に白い布を敷いてお神札を立てるという形で差し支えないとされます。目線より高く、清浄な場所であればよい、という考え方です。
お守りについては、そもそも身につけるものなので神棚の有無は関係ありません。受けて持ち、一年を目安に納める。それだけで足ります。
お神札とお守りは、神社との関わりを家のなかに持ち込む形です。参拝が年に数回でも、神棚があれば毎日その社を思い出します。
一年で取り替えるという習慣は、その関わりを更新する仕組みでもあります。納めて、受ける。その反復が続くかぎり、関わりは切れません。
市内で納所があるのは社務所のある3社ですが、自治会のどんど焼きという手もあります。地域の案内を確かめてみてください。
受けて祀り、一年後に納める。その一巡が神社との関わりの単位になります。難しく考える必要はありません。
市内145社のうち授与を行うのは3社ですが、お神札を祀る家はそれより多くあります。頒布の経路は集落ごとに違うため、氏子総代や自治会に尋ねてみてください。
出典・参考
- 神社本庁ほか公開資料
- 静岡県神社庁 神社紹介ページ
- 『静岡県磐田郡誌』(磐田郡教育会編・1921/国立国会図書館デジタルコレクション pid 965680)